和山やま先生による日常系ギャグマンガ(という分類だと思われる)。
和山やま先生の作品は、『夢中さ、きみに。』がかなり長いこと本屋で平積みになっていて、かなり目に入っていたし気にもなっていたのだが、どうしても手が伸びなかった。
私のぱっと見の印象では、『夢中さ、きみに。』というタイトルとモノクロの表紙はものすごく「青年漫画!!!!」という感じがしたし、絵の雰囲気がシリアスで、なんとなく「思春期のもやもやしたところや黒いところ、思い出したくもない感覚を描いた作品だろう」と思い込んでいたのだ。
たしか帯には古屋兎丸先生が推薦文を書いていて、そのことも前述の印象を強めた。
だって古屋兎丸先生と言えば『ライチ☆光クラブ』じゃないか。
もちろん古屋兎丸先生が多種多様な作品を描いてらっしゃるのも知ってはいるけど、古屋兎丸先生と言えばヴィレッジヴァンガードに絶対置いてある『ライチ☆光クラブ』じゃないか。
2年に1回くらいネットであらすじを検索して「あ、やっぱ無理そうだ」って諦める『ライチ☆光クラブ』じゃないか!!!
結局手が伸びないまま平積み書籍は入れ替わっていき、タイトルの本が平積みされるようになった。
しかしここでも、『夢中さ、きみに。』への完全な偏見のせいで手に取るまではいかず、「やっぱり青年誌っぽい絵だなあ、女子校の先生の話とかものすごく闇が見え隠れする設定だ。」と思っていた。
しかし、何度も本屋で見かけている間に気が付いた。
眼鏡にチョークついてる。
恐らくこの漫画の主人公であろう男性の眼鏡にチョークがついている!!
もしかして怖くないの?
そして遂に『女の園の星』を手に取ることができ、「爆笑必至」という文字がやっと目に入り購入に至った。
内容に関して言えば、あんなに怖がってなかなか手に取らなかったのが悔やまれる面白さだった。
日常系とはいえエッセイではなく創作なのだから、漫画的なキャラクターだったり、感情が分かりやすく跳ねたり下がったりするのだろうと思いながら読み進めるといい具合に裏切られる。
主人公である星先生は、生徒たちに気持ち悪がられたり、尊敬されたり、敵視されたり、好かれたり・・・といった強い感情を抱かれない。
同僚の先生だって、少し鬱陶しいなあタイプ違うなあと思うこともありそうだが、基本的には事を荒立てたりしないし程よい距離感をお互いが意識して作っている。
ちょっとちょっかいを出しすぎたりもするけれども、踏み込みすぎないようにも調整する大人の人間関係は、理想よりではあるがリアルだ。
一番漫画的で「いくらなんでもこんな人いない」と思わせるのは鳥井さんくらいだろうか。というか、こういうタイプの人がクラスメイトに素直に受け入れられているのが漫画的と言おうか。私の学生生活がブラックすぎただけだろうか。
とにかく面白かったので2巻を待ちわびている。
ちなみに、「青年漫画っぽい」と連呼し読了後も青年誌連載だろうと思い込んでいたのだが、このブログを書くにあたり改めて見たら「FEEL COMICS swing」と記載があった。
思い込みは恐ろしい。
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